行動力のある小娘に惑わされた話

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泣きじゃくる小娘

少女
週末の金曜日。今週はとても疲れた。職場が入居するビルの電気設備の点検作業が夜中にあって、どうせサーバーを止めるならメンテナンスをしようということになって、徹夜で作業する日があった。

若い頃はね、夜通し遊んでそのまま職場へ向かった、なんてこともあったけど、さすがにこの年になると徹夜はつらい。体力の消耗が半端ない。

おまけに、Webのプログラムに不具合だらけ。こっちを修正したらあっちにも不具合。あっちを修正したらそっちに不具合。おまけに致命的なセキュリティホールがあったりして、新規の機能の組み込みが間に合わない。

身体と精神が持たないよ…週末だから早よ帰ろう。その日は久々に定時ダッシュに成功した。

職場から自宅までは1時間半あまり。遠い。遠いよ。山の中に住んでるから仕方がないのだけれども。電車の最寄駅からはさらにバス。

やっとの思いで最寄のバス停に着く。PiTaPaでピッとしてバスを降りる。自宅まではものの数分。

バスの降車用扉が閉まって発車する直前、泣きじゃくりながら道路の反対側から走ってくる少女ひとり。

ぼくは何事か理解できず呆然としていた。バスの運転手が何事かと扉を開けて少女に問いかけた。

ヒックヒック泣きじゃくり、全然要領を得ない。てか、運転手さん、お客さん乗ってるのに、泣いてる少女に構ってていいの?

ぼくがなんとかしますから。運転手さんは、なぜか「すみません、すみません」と言いながら、バスを発進させた。運転手さんもびっくりしただろうね。お客を降ろして発車しようとしたら、目の前を少女が駆け抜けて来るんだから。

どうしたの?ぼくは少女に問いかけてみた。

あのな、ママがな、おれへんようになってん。ゆきのがな、ママの言うことを聞けへんからな、ママがな、家出するっていうてな、おれへんようになってん。

ヒックヒック泣きながら、少女はぼくに事情を説明した。時刻は19時半。周りはもう暗いし、少女をひとり放っておくことはできないから、とりあえず家の方に連れて行こうと思った。

ゆきのちゃん?とりあえず、お家に行こうか?お母さん、帰ってるかもしれないし。ゆきのちゃんのお家、どこかな?

少女は「あっち」と指差しながら、また、道路を飛び出そうとした。危ないやっちゃな。

ゆきのちゃんはぼくを家の方向に案内した。何年生?と聞くと「1年生」と答えた。うちの三男が3月に小学校を卒業したから、入れ違いに小学校に入学したわけだ。

ちなみにぼくは、変質者ではない。

ゆきのちゃんの自宅はバス停から1分もかからないところだった。家には明かりがついていた。

お家にはお母さん以外には誰もいないの?お家でお母さん、待っていたら?

お家には誰もおれへんねん。

お父さんは?

パパはお仕事やねん。

そりゃそうか。ぼくは定時ダッシュ来てきたけど、大阪市内とかで普通に仕事していたら、まだ帰れない時間だよな。

ゆきの、ママがいいねん。ママ、探しに行くねん!

また道路へ飛び出しそうになった少女の腕を掴んで引き止めた。ええ加減にしとかんと、そのうちクルマに轢かれるで。

ゆきのちゃん、あのな、ゆきのちゃんがお母さんを探しに行ってる間にお母さんが帰ってくるかもしれへんし、お母さんもゆきのちゃんを探しに行ってるかもしれへんやろ?だから、お家でお母さんを待ってなさい。

いやや!ゆきのはママがええねん!

言うこと聞かんやっちゃなぁ。困ったやっちゃ。つい先日まで少年野球チームでコーチをしていて、困った少年少女相手に野球をしてたけど、ゆきのちゃんはそいつら以上に困ったやっちゃ。

でも、一応、会話になってるから、その辺はまだマシか(´・ω・`)

何分くらいゆきのちゃんと押し問答してただろう。ゆきのちゃんをなんとか家の敷地内から飛び出さないように押し込めていたんだけど。そうしているうちに、家の前にクルマが近づいてきて。

ゆきのちゃん、あのクルマ、知ってる?

うん!ママ!

お母さん、やっと帰ってきたよ。ぼくも泣きそうだよ。

ゆきのちゃんのお母さんらしき人が助手席側のウインドウを下げ、会釈してきたので、簡単に経緯を説明した。お母さんはゆきのちゃんの上のお子さんをどこかに迎えに行っていた、ということだった。

お母さんは恐縮して、何度も「すみません、すみません」と謝っていたが、ゆきのちゃんはお母さんが帰ってきて安堵したのか、ホッとした様子だった。

ああ、よかったよかった。じゃあね、バイバイ、とその場を離れてぼくも自宅へ帰った。

しかし、危ない

まあ、お母さんが家出せずに帰ってきてよかったんだけど、いくつか危ない点があるよね。

まず、バスの発車間際に道路を駆け抜けてきたこと。直前の様子を見ていなかったんだけど、多分、道路を渡るときに左右を見ていなかったんじゃないかな?

ママがいない!というので慌てていたんだろうけど、確認せずに道路を渡るのは危険。

それと、ちょっと考えてしまったのはこっちの方。

ぼくが変質者でなかったからよかったものの、自宅を教え、自分のことを「ゆきの」と名乗って、なおかつ「1年生」と答えてるから、何小学校の1年生の誰、って特定できちゃってる。

女の子を拉致して監禁する事件が相次いで起きている世の中で、女の子を無事に大きくなるまで育てるって、大変なことなのではないかと、考え込んでしまった。

女の子だけではないのだけれどもね。男の子も犯罪に巻き込まれる可能性はあるけれども。

ゆきのちゃんが慌ててお母さんを探しに家を飛び出てきた理由は分からないけれど、小さい子どもを家に置いて出かけるときは、きちんと家の中で待つように躾けてほしいな、お母さん。

以上、行動力のある小娘に惑わされた話、でした。

WEBのシステムを作ったり保守したりするSE/プログラマというものをしています。

ブログやってますがブロガーではありません。週末WEB随筆家です。
まろと呼んでください。

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